はてなブックマークは閉じたシステムになるべきである

動物発電所(NKN別館)さんが関連記事をピックアップして下さっている通り、モテ/非モテトピックの周辺を発端として?Bのコメント欄(特に攻撃的なコメントの取り扱い)に対する問題提起が活発になっている。アイデアとしてはダイアリ市民のみにコメント権をユーザ一覧ではコメント非表示になどが出されているけれど、ここでは下のアイデアを推したい:

文面はやや分かりにくいけれど、提案者さんのダイアリの方を拝見すると「コメント欄を?Bユーザ(はてなに慣れた人)専用のコミュニケーションメディアにする」という提案みたい。このアイデアに賛同するまでの思考の流れはおよそ以下のような感じ。長文になっているけれど、単に短くまとめるのが面倒だっただけで内容はゼロ:

前提(1):コメント欄の存在と字数制限は譲れない

?Bはソーシャルブックマークであると同時に、かつてぷちメディアが目指した一行メタ掲示板でもある。?Bの魅力の半分はコメント欄にあり、コメント欄廃止論には与しがたい。また、?Bが批評未満の活発な口コミ場として機能するためには字数制限が必須であるため、字数制限緩和論にも賛同できない。

前提(2):コメント欄の内輪化は不可避

字数制限による文脈欠落のため、コメント欄は必然的に内輪のモノになる。周知の通り、しねばいいのに問題の原因はコメントの攻撃性や反論機会の欠如よりもむしろネタをネタとして伝えられなかったという事実にある。このくらいはっきりした問題ならばユーザ個々の配慮で何とかなるかもしれないけれど、内輪性が?Bの本質だということを考慮するとシステム側からの対処が望まれる。

疑問(1):そのコメント、本当に世界中へ見せたいの?

対象を広げて発言したければ、ブログのエントリにして話題の背景から丁寧に書く。?Bのコメントは備忘録といえるほどプライベートではないけれど「私はこう主張する」というほどパブリックでもなく「これって、あれだよな?」というレベルのいわば同意形成の手段である。誰にも見てもらえないのは寂しいけれど、誰か――特に、自分の話を分かってくれる人――が見てくれていればそれで良い。要は見知らぬ誰かと繋がりたいだけなのだから、?Bの外まで無遠慮を撒き散らしたいとは願わない。繋がった集団の存在を頼みに強気な行動に出る人間はクズである。

疑問(2):ぷちメディアはなぜ問題にならなかったのか?

前述のぷちメディアは?B以上に便所の落書き状態だったにも関わらず、特に問題にはされなかった。これは2つの理由による:

  1. ぷちメディアツールバーをインストールしない限りコメントを読むことはできず、したがってコメントを目にするユーザは少なくとも「ぷちメディアとは何か」を理解していた。
  2. ぷちメディアはユーザの絶対数が少なく、したがって何かが問題とされる可能性も低かった。

つまり、コメント欄を編集/閲覧ともに「?Bユーザ専用」とすることによって、ぷちメディアが持っていた長所の半分を手にすることができるのである。これはぷちメディアが失敗した原因の半分を獲得することも意味するけれど、既に多くのユーザを確保している?Bにとっては問題ではないだろう。?Bを閉じたシステムにすることにより、?Bを知らない人々がコメント欄を目にしてショックを受けるような事故は完全に防げる。

疑問(3):?Bを「開いたシステム」にしておく意義はあるのか?

パブリックなコメントを記入できるだけのキャパシティがない以上、コメント欄を?Bユーザ専用の道具にしてしまうことによる弊害は少ない。ソーシャルブックマークとしてはコメント欄がなくても構わないし、口コミ・雑談の場としてはむしろシステムとして一定の前提が保証されている方が望ましい。せいぜい問題となるのは「隠れてコソコソやっていて気持ち悪い」と外部の人々に揶揄されてしまうことくらいだろうけれど、mixiがそれなりに成功している現実を考慮すれば弊害というほどのことでもない。

疑問(4):はてなは「閉じない」というポリシーを持っているようだけれど?

ダイアリーのコメント許可問題で「閉じてしまう方法は避けたい」と発言しているように、はてなはシステムをオープンにすることについて強いこだわりを持っているようだ。しかし、(ブログならばともかく)コメント欄を備えたSBSという新規性のある形態を提案するに当たって「閉じたシステム」について考慮することには少なくない意義があるはずである。特に、自分の記事がクリップされるまで?Bの存在を全く知らなかった外部の人々がコメントの暴力に晒されてしまう現状は適切ではない。運営者側が非geek層への親身な対応を成し得ないならば、(たとえWeb 2.0への流れに逆行していようと)コメント欄を?Bユーザ専用にしてしまうかあるいは2chのようにリファラを隠すなどの後退的な対処を視野に入れるべきである。
――という脈絡で、コメント欄を(編集のみならず閲覧についても)?Bユーザ専用にするというアイデアに私は賛同します。でも、残念ながらポイントはベットできません。
シナトラ千代子さんが同じようなネタで書いて下さったようです。センセーショナルなエントリのタイトルの付け方が参考になります……や、ここは6hotブログなのでセンセーションも何もあったものじゃないんですが。